Viva Technology 2025(6月11日〜14日・パリ開催)は、14,000社以上のスタートアップ、3,600人超の投資家、180,000人の来場者を集める、過去最大規模の欧州のテック・イノベーションイベントとなりました。
今回、Ubergizmo Japan編集部がイベントにメディアとして参加、そのレポートをお届けします。

1.スタートアップを取り巻くエコシステムの状況

Viva Technology 2025では、世界中からスタートアップ、投資家、大企業が集結し、グローバルなイノベーションの潮流を体感できる場となりました。
特にフランスのスタートアップ・エコシステムは、La French Techを中心に官民連携が進み、起業家・スタートアップ・大企業・支援機関が一体となった成長環境が整備されています。日本もこの流れに呼応し、東京が「Global Startup Ecosystem Report 2025」で世界11位にランクインするなど、AI、量子技術、フードテック分野を中心に国際的な存在感を高めています。また、サステナビリティやヘルスケア、ディープテックなど社会課題解決型スタートアップが注目を集め、エコシステム全体がより多様化・成熟化していることが特徴です。

グローバルな多様性:国家・地域の横断
カナダが「2025年の国」として大規模参加し、アジア・アフリカ・中南米からの delegations が初参加。また、地域別パビリオン(欧州各州、日本ブースなど)も存在感を放ち、地域間エコシステム間の交流を促進していたのも特徴です。


2.LVMHなど大企業とスタートアップのコラボレーションの状況・傾向


Viva Technologyの大きな特徴は、大企業とスタートアップの協業を「チャレンジ」形式で可視化する点です。
LVMHは創設パートナーとして、毎年「LVMHイノベーションアワード」を開催しています。
過去の2024年には13のメゾンが「ドリームガーデン」内で19のイノベーションを発表し、ブランド価値・サステナビリティ・デジタル体験など6分野で世界中のスタートアップと協働しました。今年は日本企業2社が初めてファイナリストに選出され、うちヘラルボニーはダイバーシティ&インクルージョン部門賞を受賞。LVMHは各国に担当者を置き、グローバルなスタートアップ支援体制を強化するなど、オープンイノベーションの本気度が際立っています。
今回はフランス発のスタートアップOmiが「Most Promising」を受賞。Guerlain(LVMH傘下)との3D/AI活用コラボ実績が評価され、当日L’Oréalとの協業も発表されました。他にも、米KahoonaがDior向けパーソナライズ技術でBest Business賞、GenesisがMoët Hennessy向け土壌デジタルヘルス測定でBest Impact賞を受賞しました。

Moet&ChandonのブドウをAIで判別して選果するソリューション

ADCアニュアルアワードを受賞した「The Art of Personalization」

3.日本のスタートアップの特徴・傾向

2025年はJETRO主導の「Japan Village」として、東京都、愛知県、京都市、仙台市など自治体も加わり、AI、ロボティクス、サステナビリティなど多様な分野から20社以上が出展しました。日本のスタートアップは、ディープテックやクリーンテック、アクセシビリティ技術など社会課題解決型が多く、半数以上がシリーズB以上の資金調達済みでグローバル展開志向が強いのが特徴です。また、自治体レベルでのスタートアップ支援や、フランスのインキュベーション施設をモデルにした拠点整備など、日仏連携によるエコシステム強化も進展しています。


Viva Technology 2025は、スタートアップを核としたグローバルなイノベーション・エコシステムの進化、大企業とスタートアップの実践的な協業、日本発スタートアップの国際的な台頭と多様化を鮮明に示す場となりました。
今後も日仏・グローバル連携が深化し、社会課題解決と経済成長を両立する新たなイノベーションの波が期待されます。